高卒で就職して一年で辞めました 第三十九話

本当の意味で乗り越えた瞬間

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※登場人物の名前、設定、職種など

事実とは少し変えて描いております。

 

あんなに恐ろしかった前の職場の「お局三人衆」と対峙しても

最早なんとも思わなくなっていた私。

 

過去を乗り越え、新しい生活、新しい仕事に取り組むことができていました。

 

失敗もしました。

 

クライアントからの仕事依頼を受け、何度か打ち合わせをしてデザインを進めていき

最終校正でOKを貰った後に印刷に出すのですが

そのデータを入稿する直前になんらかの要因で一部の文字を消失。

 

入稿前にもう一度よくチェックすればこのようなことにはならないのですが

毎日見ていたデータ。校正は完了したという思い込みから

全体的なバランスだけをチェックして細部まで見ておらず

刷り上がった後も見落とし、そのまま納品してしまいました。

 

 

電話にてクレームが入るまで全く気がつかず…

数万枚も印刷したパンフレットが全てゴミと化した瞬間…

 

 

全身から汗が止まりませんでした。

しかし隠していてもどうにもなりません。

上司である煙川さんに相談することにしました。

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怒鳴られなかった…

 

思い返せば以前の職場では

 

「やってすらいない罪」で怒鳴られることは日常茶飯事。

ましてや本当にミスをしたとなれば、それはそれは吊し上げられました。

 

目つきが悪いだけで、普段怒ったり感情的になったりはしない煙川さんも

流石に今回の失敗に関しては声を荒げるだろう。と勝手に想像してしまっていたのですが

 

「失敗は誰でもする。しょうがない。

大事なのは失敗した時にどう処理するかということ。」

 

そう言ってこの後の対応方法を教えてくれました。

 

 

データ修正した後に最短納期で再発注。

クライアントへは改めて謝罪に行き、刷り直しの納期を伝えました。

幸い、予定には間に合うとのことで安心していただけました。

 

しかしながら会社にとっては大損害。

せっかく仕事を受注したのに、最短納期で刷り直しなどすれば完全に赤字です。

 

それでも

煙川さんも社長も、誰も私を怒鳴ることはなく

「以後気をつけてね」と言うだけでした。

 

 

もっともっと頑張ろう。

今回のミスを別のかたちで取り戻そう。

 

そう決心したのでした。

ある日、煙川さんからいつものように仕事を任されました。

 

「女性が好むデザイン」というのがコンセプトであったので

私の方が向いているだろうということでした。

 

仕事を頼まれると、やたらと張り切る私…

嬉しさのあまり次々とアイデアが浮かび、

2パターンでいいのに4つも5つも作り出してしまいました。

 

どんなに作っても自信をもつことができず、

当時は毎回チェックをしてもらっていました。

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うれしかった。

私が作ったデザインを見て

 

「これ、すごく良いね!

多分クライアントも大喜びだよ!

一発OKくれるんじゃない!?」

 

と全力で褒めてくれました。

 

 

そして煙川さんの言う通り、

ほぼ修正をすることなく、デザインサンプル提出時の状態で一発OKを貰えました。

 

 

 

嬉しくて嬉しくて、何度も自分が作ったデザインを見返しました。

 

これ、そんなに良いデザインなんだ!?

 

 

と、まだまだ未熟だった私は理由こそ解ってはいなかったのですが

「良い」と言われると、どんどんそれが良いものに見えてきて

 

誇らしくて、幸せな気持ちでいっぱいでした。

 

 

つづきます…

 

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