高卒で就職して一年で辞めました 第三十八話
- 2021.06.29
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- 02 エッセイ漫画, 08 高卒で就職して一年で辞めました
現れた「お局三人衆」
※登場人物の名前、設定、職種など事実とは少し変えて描いております。
パートとして勤務していた会社で正社員となり
未経験ながらも「グラフィックデザイナー」として働き始めた私。
弾き語りは未だに通い続けてはいたものの
フルタイムで働き、時には会議などで夜遅くなることもあったりして
「そろそろ潮時かなぁ」と思っていたある日のこと。
弾き語りをする私の目の前に「あの3人」が現れたのです。
なんと前の職場で噂になっていたらしい。
電車通勤されている方もいらっしゃるでしょうから
当然と言えば当然なんですけれども
「駅前で座り込んでる」って…
まぁ、そうなんだけれどもさ。言い方!
3人で駅前のデパートに買い物に来たという3人。
デパコスの紙袋をひっさげて、派手な私服を着こなしていました。
相変わらずの迫力で投げかけられた言葉は
「どうせアンタのことだから
仕事なんてしてないでフラフラしてるんでしょ?」でした。失礼なやっちゃ。
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「一応正社員として働いています。」
と話すと、
「どこで?どのくらい?何の仕事?どうせくだらないところでしょう?」
と質問責めに。
隠す必要もないのでありのままを話したところ
鼻で笑われまして。
これでもかってほど馬鹿にしたような
見下したような表情を見せつけた後
言うだけ言ってさっさと行ってしまいました。
そして…
聞こえとる聞こえとる。
聞こえとりますよ姉さん方。
聞こえるように言っていたのでしょうけれど。
私のことを笑いながら去っていく3人…
でも、なんで?
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鼻で笑われる意味が解らない。
そういえば「コネ入社」をして一日目にこんなことを言われたのを思い出しました。
「貴女みたいな高卒女が入れるような会社じゃない」
彼女たちは、自分たちが勤めている会社は素晴らしい場所で
私の職業はそれよりも下。だと認識したのでしょう。
なにそれ。
超失礼やない?
ええんか。年下の高卒女はいくらだって見下してええんか。
腹立たしい思いもなく悔しい気持ちもなく
ただただ「なんて失礼な人たちだ」としか思わなかった私。
お給料の良し悪しでだけで会社の良さが決まるわけではありません。
ありませんが、
働く環境も最悪。
人間関係も最悪。
賃金も県内最低ランク。
何を以て自分たちのほうが上だと?
そしてここでふと、とあることに気がつきました。
あの3人と対峙しても
どこも痛くない…!
思えばあの会社で勤めた1年間、
ずっと胸の中がぎゅっと締め付けられて痛くて
「膀胱炎」を発症してからというもの、
あの会社のこと、あの3人のことを思い出すたび
それがトリガーとなって再発するといったような
心だけでなく、体も反応してしまうほど恐れていた彼女たち。
ところがこの時、自分の体調に何の変化も起きませんでした。
そりゃああの迫力ですから当然怖かったのですけれど
それ以外の感情もなく、
あんなに嫌味を言われても嫌な気分にすらならなかったのです。
すっかりこの出来事を忘れていた。
実はこのエピソード、
最近母とこの頃の思い出話をしていて
「そういえばあの会社辞めてからしばらくして
駅前であの人たちに会ったって言うてたよなぁ。
とことん嫌味言われたんやっけ?」
と言われ
「え?そんなことあったっけ?」
と、すっかり忘れていた私。
しばらく脳内で記憶を探り
やっと思い出したこの時の出来事(うろ覚え)
そういやそんなことあったなぁ…
実際はもっと色々言われたような気がするけれど
断片的でほとんど覚えていない。
それくらい、本当にどうでも良い記憶だったのでしょう。
もう、あの3人のことを思い出しても
お腹が痛くなることは二度とありませんでした。
つづきます…
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さやけんさん
“ご卒業”おめでとうございます!
ところで、
このお三方、実は“大先輩”だったってこと、気付いてますか?
我が強く、才能があり、おまけに「若い女の子」というだけで周囲がチヤホヤ・・・どんどん高くなるプライド、人の話なんて聞かない、自分が最高って事は自分が一番知ってる・・・なんて調子こいてるうちに歳食って、気付けば、あらら?なんだか斜陽・・・でもそんなの認められない!!仲間だっているのよ!!!!!
――以上は、あのお三方が歩んだと推測できるコースですが・・・どうです?
あのお三方のお陰でどん底に叩き落とされていなければ、ひょっとすると、さやけんさん御自身が歩んだかもしれないコース、ですよね。
うーん、ほんと、
引き寄せの法則って凄い。
だから・・・
こうして完全に突き抜けたさやけんさんと会ったあと、あのお三方の中にちょっぴりでも新しい変化が芽生えてたなら、それこそ本当のハッピーエンディングですよね。
コメントありがとうございます。
確かに、もしもあのまま受け入れられて経理部にそまっていたら…
私も同じ道を歩んでいたかもしれませんし
あそこで染まれる素質があったとしたら、それこそ還暦まで勤め上げたと思います。
ここで挫折し、辛く苦しい思いはしたけれど
全てが今に繋がっていると考えると
あの時挫折しておいてよかった。とすら思う今日この頃です。
人生何がどう転ぶか、その時その時の一瞬ではわからないものですね。
御三方はもうすでに、米寿を迎えられているかそれくらいのご年齢だと思うので
幸せに暮らしていらっしゃるのではないかなぁと思います。
それぞれの人生、それぞれ幸せに暮らせるのが一番良いことですねっ!