高卒で就職して一年で辞めました 第三十二話

「女性だけの部署」が怖い

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※登場人物の名前、設定、職種など

事実とは少し変えて描いております。

 

「パートでもいいから自分の得意なことを活かして働いてみたら」

 

そう母に言われ、

退職してからなかなか前に進めずにいた私は新たな一歩を踏み出すことを決心。

 

面接は驚くほどあっさりと終わり即採用が決定し

その日のうちに会社を案内され、配属される部署に挨拶することとなりました。

 

しかしそこはまたしても、女性スタッフのみの部署だったのです…

 

 

怖い。

 

初めの印象はそれだけでした。

 

前の職場で毎日毎日強く叱られ続けていたこともあり

「女性スタッフ」を見るだけで体が強張るようになってしまっていました。

 

こわい。こわい。にげたい。にげたい。

 

そればかりを頭で繰り返していたのですが…

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めちゃくちゃ喜んでくれてる…?

 

 

私の勤務先は本社から離れたド田舎にあった為、

若い子が面接に来ること自体珍しいことだったよう。

 

「若い子がきてくれた!」

「パソコン関係全然わからなくて困っていたから

得意な人が入ってくれて嬉しい!」

 

と両手を広げて歓迎してくれました。

 

入社日から否定され続ける。という経験をした私にとって

それは驚きを隠せないものでした。

 

もしかしたら。もしかしたらうまくやっていけるのかもしれない…

 

そんな期待をほんの少しだけ抱くことができたのです。

アナログぅ…!!

 

確かにパソコンを使って入力はするのですが

それに至るまではほぼ手作業。

 

そもそもパソコン自体が大の苦手らしく、

結果だけ確実にして本社にデータとして送っている。という状況でした。

 

もっとこうしたら今1時間かけている作業も10分程度で終わるのに…

こうすればきっともっと楽で、データ管理もしやすいのに…

 

作業を楽にできそうな案は沢山浮かんだのですが…

どうせ私には何もできない。

私は余計なことを言ってはいけない。

 

 

1年間、そう言われ続けてきており

「もっとこうしたら効率も上がるし、私ももっと仕事しやすくなる」と思いついても

決してそれを口に出すことは許されませんでした。

 

でも今は、以前の職場とは違う。

 

「パソコン苦手だから、教えてね」って言ってくれている人が目の前にいるんだから。

勇気を出して、声をかけてみよう。

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喉からなかなか出せない声を必死に絞り出し提案してみると

先輩である女性スタッフは

 

「ほんと!?ぜひ教えて!」

 

とこちらを振り返りました。

 

恐る恐るパソコンをお借りし、思いついた案を実践してみることにしました。

めっちゃ感動してくれる…!!

 

 

「余計なことをして!」と叱られるのでは。と不安だったのですが、

自動で分類されていく様子を見て、とても喜んでくれました。

 

もともとパソコン作業が嫌いだったという彼女。

 

急に前任者が退職し、人手不足により事務員として配属されたものの

引き継ぎも受けられず、要領もわからず、退社時間が来てもなかなか帰れず残業続きだったようで

とても困っていたらしく、本当にとても喜んでくれたのです。

こんなに感謝されるなんて

 

高校を卒業してから

誰かに「ありがとう」なんて言葉をかけてもらえたことがあったでしょうか。

 

「出来留さんのクレーム事件」の際、一度だけお礼を言っていただけたことはあったのですが

結果的に「余計なことをして迷惑をかけている」と叱られたため

 

こんなに人から感謝され、喜ばれ、仕事を評価されたのは生まれて初めてでした。

 

不安でいっぱいだった新しい職場。

一気に目の前が明るく、温かいものへと変わっていったのです。

つづきます。

 

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